恐らくかなり需要があるのではないかと思います。他にネット上で不合格再現とかみたことないので…ほんとはその年合格して、「いやあ、あれは落ちたと思ったんだよ」的な笑い話として公開しようとその時作ったんですが、全然笑い話じゃねーよ!
ということで、みなさんの口述対策の一助とすべく、今公開します。
私が予備口述に落ちた時の刑事系の再現です。民事系は60はあったと思うので、刑事系の点数はお察しください。
今見ても、これは落ちてもしょうがないレベルです。ひどすぎます。学部2年生でもわかるぞ、どうやって論文受かったんだコイツ、といった声が聞こえてくるようです。
しかし、口述で最初に間違えたりすると、本当に精神が崩壊して、普段なら当然分かるものも全然答えられなくなることがあり得ます。ちなみに私はかなり緊張に強いと思います。口述独特の雰囲気は味わったものにしかわかりません…!
これから受験されるかたは、うまく答えられない等のことがあってもあまり動じないように、そういったことを想定してイメージトレーニングされることをお勧めします。ちなみに、本気です。
では、阿鼻叫喚の地獄絵図をご覧ください。→(イタリック調は現在の私から、過去の私へのツッコミです。)
私「○室○番です。よろしくお願いいたします。」
主査「どうぞおかけください。私から質問します。」
私「はい」
割と優しそうな主査と怖そうな副査。。。
主査「今から事案をいうのでよくきいてください。
Aが被害者B宅に夜中に侵入し、現金とキャッシュカードを摂取しました。ところが、Bが目を覚ましたので、Aは反抗を抑圧するに足りる暴行をBに加えて逃走しました。
よろしいですか?」
私「はい」
(事後強盗かよ。。。苦手だわ。でも一応勉強しといたから大丈夫っしょ)
→(大丈夫じゃねえよ。)
主査「Bには何の罪が成立しますか。」
私「住居侵入罪と事後強盗罪です。」
主査うなずく
主査「事後強盗罪の構成要件はなんですか」
私「窃盗犯人が、逮捕を免れる等の目的で反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加えて…財物奪取を…遂げることです。」
主査「逮捕を免れる等って、何があるの?」
私「えー、逮捕を免れる、財物を取り返されるのを防ぐ、あと罪跡を隠滅する目的です。」
・主査うなずく
(いまんとこいい感じだな。このままさっさと刑訴いってくれ。実体法はアカン)
→(実体法勉強しろよ。なんで論文受かったんだよお前)
主査「じゃあ、ちょっと事案を変えます。」
私「はい」
主査「キャッシュカードを盗んだ後、AがBを起こして暴行・脅迫を加え、キャッシュカードの暗証番号を聞き出した場合はどうですか?」
(…は?)
私「………えー…窃盗罪と…強要…罪の併合罪…が成立します…(消え入りそうな声)」
主査、は?みたいな顔する
主査「二項強盗罪は考えられませんか?」
(…はい?)
私「えー…二項強盗罪…は、考えられると思います。」
(よくわかんないから乗ってみるか)
→(よくわかんないじゃないよ。なんでこんな重要判例知らないんだよ。)
・主査、また、は?みたいな顔する
主査「二項強盗罪の構成要件はなんですか。」
私「えー…えー…反抗を抑圧するに足りる暴行を加えて、利益??を移転させる??ことです」
(なんだっけ、ニュアンスはあってるんだが言葉がでてこない。やばい)
・私、テンパってくる
・主査、んーみたいな顔する。私さらにテンパる
主査「じゃあさ、その利益は、この事案でいうとなんなの?」
私「キャッシュカードの暗証番号…あ…」
主査「それ利益なの?」
・私、てんぱって、えー、利益、えーとか30秒くらいぶつぶついう
私「利益とは言えないと思います。すみません、条文を見てもよろしいでしょうか。」
主査「?どうぞ?」
・条文めくる「財産法上不法な利益を得」となっていることを確認。
私「すみません、やはり利益を得たとは言えないので、強盗罪は成立しないとおもいます。」
主査「え?君の中では何が問題になってるの?」
私「キャッシュカードの番号そのものを聞くことが利益を得たといえるかどうかです。」
主査「うん、じゃあ、強要罪とかなんとかいってたっけ?それが成立して強盗罪は成立しないってことね?」
このあと、利益にあたるかってとこで、キャッシュカードもってって引き出したら銀行に対する窃盗罪が成立する云々みたいな話した気がするけど忘れた。
私「…はい。」
主査「はい、わかりました。」
・副査、苦虫をかみつぶしたような顔をする。
強要罪はなんかおかしい気がしたけどよくわかりませんでした。
ここまでなら、まだ挽回できたと思います。
しかし、ここからの手続きゾーンが本当に、本当にまずい。
ちなみに、手続法ゾーンについては、もちろんその時の私も平常時であればなんなく正解に辿り着ける知識は持っていました。
(ここから挽回しないとマジでやばい)
主査「じゃあ、始めの事案でAが逮捕されて、令状をとってAの母親を立ち会わせてA宅を捜索したらAの部屋から覚せい剤がでてきました。この令状に基づいて覚せい剤を差し押さえることはできますか?」
私「できます」
・てんぱっていたため、事件が前の続きだという事を完全に忘れる。強盗事件やぞ!!
・主査、とうぜん、は?!みたいな顔する。
私「!!!失礼しました、撤回いたします。強盗の被疑事実に基づく令状なので、覚せい剤は差し押さえできません」
主査「そうだよね。ここでいう令状っていうのは、なんの令状ですか?」
私「捜索差押許可状です」
主査「うん。じゃあ、この覚せい剤を押収するためにはどんな手続が考えられますか。」
私「新たに覚せい剤取締法違反の被疑事実に係る捜索差押許可状を請求することが考えられます。」
主査「うん、まぁ、もう覚せい剤はみつかってるから差押許可状だよね。」
私「あ、はい」
・そりゃそーだ。
主査「ほかには?」
私「母親から任意に提出を受ける事が考えられます」
主査「母親は覚せい剤を提出できるの?Aじゃないのに?」
私「…えー…えー…」
主査「こういうのはだれが提出できるの?」
私「所有者、占有者、管理…者…のような規定になっていたと思うのですが…」
・主査、笑う
保管者ですな。
私「すみません、条文を参照してもよろしいでしょうか…」
主査「いやいや、あなたの知識を聞いてるんだから笑 条文見たらわかっちゃうでしょ笑」
・副査笑う
私「すみません、母親は提出できません」
主査「…はい。」
わけがわからない。できるにきまってる。緊張というのは恐ろしいです。
主査「じゃあ、できるとして(私、ここで過ちに気づく。いま蒸し返すのは危険と思いスルーする)、ここではどんな手続が行われますか?」
(どんな??どんなってなんだよ、意味がわからない)
私「え…母親から任意に提出を受けて、その、占有を取得します。」
主査「いやだから、どんな手続で占有を取得するのさ(怒)」
(だからどんなって何だよ!!)
私「え、と、これはりょうch…」
主査「領置だよね。」
(それが聞きたかっただけか。「なんという手続」でいいじゃん…)
私「はい。」
こんなとこで無駄に時間を使ったのはもったいなかったです
主査「じゃあ、強盗の令状で覚せい剤を差し押さえちゃったら、どうなる?」
私「その差押は違法になります」
主査「ということは?」
私「その覚せい剤の証拠能力が後の公判手続において否定されると思います。」
主査「なんで?」
私「令状主義の精神を没却する重大な違法があるといえ、今後の違法捜査の抑止の見地から証拠能力を否定することが相当であるためです」
主査「ふーん。」
なんか違和感があったけど、まぁ、大丈夫・・・?
主査「じゃあ、差押の後、Aに対する強制採尿令状を得て、それにより鑑定書を得た場合、この鑑定書の証拠能力は否定されますか?」
私「…されないとおもいます」
主査「なんで?」
・なんとなく大丈夫なことはわかるが、いざ、なんでと聞かれると、上手く説明できないことに気づき、焦る
→(できろよ、説明。超基本論点だろうが。どんだけ論文知識忘れてんだよ)
私「えー、覚せい剤、覚せい剤が、覚せい剤、えー…」
・この後1分間くらい覚せい剤、覚せい剤とうわごとのように繰り返す。街でやったら職質されるとおもいます。
私「えー、強制採尿令状の発布を得たこと自体は適法なんでしょうか…?」
主査「それも含めて聞いてます(ちょっと怒)」
私「えー、覚せい剤の差押が違法なので…」
主査「あのさ、覚せい剤を差し押さえたから強制採尿したわけ?」
私「えー、えー、覚せい剤、えー…」
・また30秒くらい覚せい剤を連呼
主査「…覚せい剤を部屋でみつけたからじゃないの!?」
(何いってんだこいつ、同じことじゃ…!!)
私「あ!覚せい剤を発見したこと自体に違法はないので、強制採尿自体は適法です。なので、それにより得られた鑑定書も違法なものとして排除されません。」
主査「はい、私の方からは以上です。」
副査「私は特に」
主査「では、終わります。」
私「はい。ありがとうございました。」
どうです、地獄のようでしょう?
みなさんはこうならないように、実体法、手続法ともに、論文と短答の知識を思い出しときましょうね。執行保全とか、そういう口述プロパーよりそっちのほうが大事です。